反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)療法

反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)療法

部門紹介

2020年7月~、うつ病の新たな治療法「反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS治療)」を導入しました

医療機関のみなさまへ

治療申し込みにつきましては、下記の申込み用紙を地域医療連携センタ宛てにFAXいただきますようお願いいたします。 内容確認後、折り返しご連絡差し上げます。
※「診療情報提供書」「質問票」については受診時にお持ちいただくようご案内ください。

各種様式(ダウンロード)

診療内容

うつ病の新しい治療法:rTMS 療法

うつ病は、精神的ストレスや身体的ストレスが重なることなど、様々な理由から脳の働きに障害が起きている状態です。このため、ものごとを否定的にとらえるようになったり、自分自身に対する評価も低くなってしまうことがあります。その結果、普段なら乗り越えられるようなストレスも、よりつらく感じてしまうという、悪循環が起こりやすくなります。
rTMS(反復経頭蓋磁気刺激)療法は、脳に繰り返し磁気エネルギーを与えることで、脳の働きを改善し、うつ病の症状を和らげる新しい治療法です。
2017年10月にわが国でもrTMS療法が承認されましたが、長らく自由診療(自費診療)や研究目的での実施にとどまっていました。しかし2018年3月に適正使用指針が策定され、2019年6月からは成人のうつ病に対するrTMS療法が保険適応となり、適応があれば誰でも健康保険を利用してrTMS療法を受けることが可能になりました。
当院では2020年7月より、保険診療でのrTMS療法を開始しました。

rTMS 療法 の概要

rTMSはrepetitive Transcranial Magnetic Stimulationの略で、日本語では反復経頭蓋磁気刺激(はんぷくけいずがいじきしげき)と言います。rTMS療法は、頭に密着させた専用の器具から磁場を発生させ、特定部位の神経細胞を繰り返し刺激して、うつ病による症状を改善させる治療法です。

頭に密着させる専用の器具にはコイルが内蔵されており、そのコイルに瞬間的に電流を流すとパルス磁場が生まれます(ファラデーの電磁誘導)。この磁場の変化が脳内の局所に渦電流を誘導し、特定の神経細胞群が電気的に刺激されて活性化します。つまりTMS装置では電気エネルギーを専用コイルで磁気エネルギーに変換し、さらに脳内で電気エネルギーに再変換されて神経細胞に伝わります。これを繰り返すことにより、脳内の神経細胞の活動性が変化し、うつ病による症状を和らげていくことが期待できます。

ただし、rTMS療法によりうつ病が改善するメカニズムについてはまだ十分に解明されておらず、現在も世界的に研究が続いています。
保険診療では、精神科専門医の指示のもと、1日40分、週5日、4週から6週間にわたるrTMS療法の実施(治療クール)が認められています。

治療の方法

当院ではリハビリテーション精神科に入院しながら実施します。入院しながら治療を行うことで、万一の予期せぬ副作用に対して迅速な対応が可能です。入院期間はおおよそ4週から6週間になります。高額療養費制度の対象となります(ただし食事代や差額ベッド代は保険適応外となります)。
rTMS療法にはNeuroStar TMS装置(Neuronetics社製)を使用し、当院のrTMS実施室において、訓練を受けた医師によって定められたやり方で行われます。
入院前にまずリハビリテーション精神科の外来を受診していただきます。そこでrTMS療法の適応の有無について、有効性と安全性の観点から評価します。必要に応じて、薬物療法の調整や詳しい検査(脳波検査、頭部MRI検査など)を実施することがあります。
また、rTMS療法を実施する前に、刺激部位と刺激強度を決める作業を行います。これには20 分~40分ほどかかります。専用のトリートメントチェアに座って、左前頭部(左側ひたいの数cm後方)に治療コイルを設置します。刺激部位と刺激強度を決める作業は原則的に最初の1回だけです。
刺激部位と刺激強度が決まったら、rTMS療法を開始します。刺激そのものは約40分間かかりますが、その間は訓練を受けた医師や医療スタッフがそばで見守っています。刺激にともなう不快感などございましたら、遠慮なくお知らせ下さい。初回の刺激では、刺激時の痛みや不快感が生じる場合もありますが、慣れによって軽減します。刺激中の痛みが強い場合には、一時的に刺激強度を下げることも出来ます。治療終了時には、医師が副作用や精神症状を評価します。毎回の治療の前後で、精神科専門医による診察を受けて頂きます。治療クールの終了については、有効性、安全性に基づいて、精神科専門医が判断いたします。

rTMS 療法の適応

以下に挙げる項目に合致する18歳以上の方がrTMS療法の対象となります(精神科専門医による判断が必要となります)。

うつ病(大うつ病性障害)の診断を受けていること(双極性障害は適応外となります)

抗うつ薬による適切な薬物療法で十分な改善が得られていないこと

中等症以上の抑うつ症状を示していること

上記の項目を満たしていても、日本精神神経学会が定めた適正使用指針(rTMS療法のルール)に基づいて、精神科専門医が適応外と判断した場合は、rTMS療法をお断わりすることや、途中終了することがあります。

日本では、抗うつ薬による薬物療法に反応しないうつ病に対して、他の抗うつ薬への切り替えや併用療法、あるいは非定型抗精神病薬などによる増強療法、さらには電気けいれん療法(通電療法)が行われています。電気けいれん療法の抗うつ効果は大きいといわれていますが、適応は限定されていますので、主治医にご相談下さい(なお当院では電気けいれん療法は実施していません)。

予測される有効性・副作用

rTMS療法を受けることで全てのうつ病が改善するわけではありませんし、効き方には個人差があります。世界で報告された臨床試験の結果をまとめて整理すると、以下のことが言えます。
rTMS療法の抗うつ効果の程度は、おおむね抗うつ薬による治療効果と同等と考えられますが、電気けいれん療法(通電療法)による抗うつ効果には及びません。うつ病患者さんの約3割は抗うつ薬治療に反応しないと言われており、そのうちの3~4割がrTMS療法に反応しています。つまり、抗うつ薬が効かない患者さんの6~7割はrTMS療法にも反応しないことにご留意下さい。 rTMS療法によって病前に近い寛解レベルまで回復する割合は2~3 割と言われています。再発率に関するデータは十分ありませんが、rTMS療法が有効であった患者さんの6~12ヶ月における再発率は1~3割と推定されています。

以上のように、抗うつ薬によって十分な効果が得られない患者さんの3~4割が安全性の高いrTMS療法によって抗うつ薬と同等の治療効果を示すことに一定の意義はあります。しかし、誰もが恩恵を受けるような万能な治療ではないことを事前に知った上で同意して頂く必要性があります。rTMS療法に反応しない場合には、次の治療オプションについて主治医と話し合うことになります。

rTMS療法の副作用に関しては、以下のとおりです。
① 頻度の高い副作用: 頭皮痛・刺激痛(30%前後)、顔面の不快感(30%前後)、頸部痛・肩こり(10%前後)、頭痛(10%未満)。ほとんどが刺激中に限定した副作用で、刺激強度を下げたり、慣れの効果によって、軽減されます。刺激が終わってからも違和感が残存したり、頭痛を惹起することがあります。
② 重篤な副作用: けいれん発作(0.1%未満)、失神(頻度不明)。頻度は高くありませんが、最も重症な副作用としてけいれん発作が挙げられます。けいれん発作そのものは自然に終息しますが、けいれん発作に起因する外傷や嘔吐物誤嚥などの危険性が想定されます。 これまでのTMSに起因する全てのけいれん誘発事例の報告の中で、けいれんを繰り返す症例や、てんかんを新たに発症した症例は一例も報告されていません(2019年4月現在)。また、抗うつ薬によるけいれん誘発の危険率(0.1~0.6%)と比較してもrTMS療法が特別にけいれん誘発のリスクが高いわけではありません。
③ その他の副作用(頻度小):聴力低下、耳鳴りの増悪、めまいの増悪、急性の精神症状(躁転など)、認知機能変化、局所熱傷など。聴力を保護するために刺激中は耳栓を着用して頂きます。

以上より、日本精神神経学会のrTMS適正使用指針作成ワーキンググループは、rTMS療法の安全性や忍容性が電気けいれん療法や抗うつ薬治療に比べて優れていると結論付けています。

【参考文献】
Rush AJ, Trivedi MH, Wisniewski SR, Nierenberg AA, Stewart JW, Warden D, et al. Acute and longer-term outcomes in depressed outpatients requiring one or several treatment steps: a STAR*D report. Am J Psychiatry. 2006;163(11):1905-17. Perera T, George MS, Grammer G, Janicak PG, Pascual-Leone A, Wirecki TS. The Clinical TMS Society Consensus Review and Treatment Recommendations for TMS Therapy for Major Depressive Disorder. Brain Stimul. 2016;9(3):336-46. Canadian Network for Mood and Anxiety Treatments 2016

臨床神経生理学会編:磁気刺激法の安全性に関するガイドライン(2019年版)
新医療機器使用要件等基準策定事業(反復経頭蓋磁気刺激装置)事業報告書より

問い合わせ先・その他注意事項

当院でのrTMS療法を希望される方は、まずリハビリテーション精神科の外来を受診していただきます。外来は完全予約制となっておりますので、申込み用紙(下記)を地域医療連携室宛てにFAXいただきますようお願いいたします。患者さま、ご家族でご希望の方はかかりつけの先生にご相談いただきお申込みください。

FAX申込み用紙PDF (466KB)

本治療に関するお問い合わせ先はこちら・・・ NTT東日本伊豆病院
電話:055-978-2322 FAX:055-979-3098

※ 「rTMS治療について」とお申し伝えください。

当院では保険診療でのrTMS療法を行っています。そのため「4.rTMS 療法の適応」に記載された条件を満たす方が対象となります。現在うつ病の薬物療法を受けていない方はrTMS治療の対象になりません。かかりつけ医が当院以外の場合は、当院精神科あての紹介状を必ずご用意ください。
また、こちらからダウンロードできます「反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)の適性に関する質問票」もご記入いただき、当院外来受診時にお持ちください(ダウンロードできない場合はご連絡ください)。

反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)の適性に関する質問票PDF

診療情報提供書PDF

当院では、多くの患者さんにrTMS療法を保険診療で受けていただけるように、その体制を整えるよう多職種チームで努力しております。しかし、現時点では受け入れ可能人数が限られており、お待たせすることがございますが何卒ご容赦ください。

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